「噂」(荻原浩) -本当に面白い小説を探す-【ラスト1行どんでん返しが有名な作品】
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ハドソン
こんにちは、ハドソンです。小説「噂」(荻原浩 著) のレビュー記事を書いてみました。

平成13年ということで、少し前の小説になりますが、躍動感ある展開とユニークなキャラクター、小説の最後1行に隠されたトラップ!! どれも最高に楽しめました!!

 

 

まずはあらすじから、読んでみてください!! ネタバレは後半からになります。(▼ネタバレの目次はまあ、見えてもそんなにダメージではない。)

 

あらすじ

 

若い女性を殺害し足首だけを攫っていく通称「レインマン」の正体を追う物語。

事件の発端となる企画会社コムサイトでのやりとりと、主人公である刑事の小暮・女性警部補名島の名コンビが展開する捜査の両面から事件の真相に近づいていく。

小暮・名島のチームは被害者の学校、家族、友人などの周囲の人間に話を聞き、1歩ずつ真実に歩み寄る。リアルに描かれた警察組織の中での2人の立ち位置、メインからサブまで個性際立つキャラクター、少しずつ明確になっていく真実。読めば読むほど、ストーリーに引き込まれることは間違いない。

また、小暮・名島は共に子持ちながら、伴侶に先立たれたという共通点がある。小暮は刑事としての職務を全うしながらも、高校1年生の娘・菜摘に接する時間がとれないことに責任を感じており、同世代の女の子が関与する事件と相まった心情の揺れ動きにも注目である。

 

そして、見逃せない最後の1行とは?

 

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みどころ

 

みどころは大きく分けて2つある。

 

1つめ 小暮・名島の名コンビ

 

文章と展開は非常にわかりやすく、刑事モノにしては珍しく(?)、小暮と名島は最初から関係が良好である。2人ともとっつきやすい性格で、読み終わるころには読者もこのコンビのファンになっているだろう。

その為か感情移入しやすく、読者は、まるで一緒に捜査しているかのような没入感を得られるだろう。

 

2つめ ラスト1行

 

スリリングな展開とは別に、"ラスト1行"に用意された仕掛け

それこそが「噂」の真骨頂である。これは、デザートのようで、メインディッシュのようでもある。

しかし、ラスト1行を気にしすぎると、物語が楽しめないだろう。

ラストに何かあるんだろうな、と心に留めておくくらいがちょうど良いと思う。

 

おすすめの読み方

 

読み飛ばさずにじっくり読むことをおすすめする。

というか、読み飛ばす気がなくても急いで読んでしまうくらい面白いので、焦ってよまずに理解しながら読んでいこう。

 

「ラスト1行」については、気にしすぎるのもよくないが、最後まで気を抜かずに読まなくてはならない。犯人が捕まったと思って油断していると痛い目に遭うだろう。

 

 

感想(ネタバレあり)



 

 

マルコ
まだ読んでない人は見ないでね

 

めっちゃ面白かった笑

 

ラスト1行の面白さ

 

に始まり、に終わる。この小説のタイトルにふさわしい内容だった。

 

最後の1行を読むまで、「なんかスッキリしないなぁ」という印象があった。

杖村が最後に見た女の子はなんだったのか。足がなぜ見つかっていないのか。
謎が残ったまま最後の「噂」の章へ突入した。

 

で、最後の1行を読んだ。小説をもう1回読み返すハメになった笑

「ほんとに1行たりとも見逃してはならないものだ」と感じたし、
「2回読まないと本当の理解は得られないな」とも思った。

 

小暮と菜摘の会話における重要ワード

 

思えば菜摘の会話の各所に重要なワードがちりばめられていた。

 

1期の捜査が終わって小暮が帰宅してからの会話

犯人を見つけてボコボコにしてやりたいよ

→菜摘は悲しみから立ち上がり、犯行することを示唆している。

 

青田久美について、朝食で話すシーン

ねぇ、見つかった足って、どんなだった。何で切られてるの?

→犯行を模倣する為、情報を集めている。そうでなければ、詳細など知りたいはずもない。
犯行に用いられた凶器は、それまでのものと種類が違っていた。

 

「きもさぶ」についての菜摘の会話

みんなに流行らそうと思ったけど、ぜんぜんだめ。誰も使ってくれない

最後の1行が確実に菜摘の放った言葉であることがわかる。

 

名島の本気

 

小暮が捜査本部を外れる日の捜査会議で名島が立ち上がるのは名シーンだと思う。

 

名島はそれまで、捜査の報告を全て小暮に任せており、会議で話すのは苦手らしかった。
しかし、その日の名島はいつもののんびり声ではなく、凄みをきかせた口調で話した。

このギャップが周りの捜査官、そして我々読者を引き込んだのはいうまでもない。

 

序盤で西崎と会話していたのは?

 

西崎がサキと会話する場面が序盤にある。
あれ?西崎はサキと最初の事件に関する報道を見ていたはず。

 

いや、違う。

あのとき、会話していた「サキ」はすでに足だけの状態であったのだ。

 

2人の会話はどこかぎこちなかったし、西崎はサキのことをあまり知らなかった。
そして、サキは家事を全く手伝わなかった。

また、終盤の西崎のシーンで

あの子とはろくに「会話」もできなかった

と述べられている。

 

杖村から教わる「噂」の力

 

本編のストーリー自体とは別に考えさせられる部分もあった。

コムサイトで、杖村が最初に行っていた言葉だが、

心って、脳の中の神経細胞のネットワークに流れてる化学物質の量や質のことなのよ。
それが身体中のあらゆる器官へ伝えられて、人にしかるべき行動を起こさせる。
とってもシンプル。なんだか口コミ情報の伝達方法と似ているわ。

 

つまりは、適切な「噂」を流すことで人間が動く。

そこに、「道徳」や「心」という概念はない。

 

人間の心を科学的に理解しようとするドライさ。

しかし、それが真実であるような気もしてしまう。

道徳と科学、我々はどう折り合いをつけて生きていくべきなのか。

 

平成を思い返す

 

この小説が書かれたのは平成13年ということで、現在となっては少し時代遅れな印象もある。主人公の小暮はまだパソコンやメールといったものに慣れていない。

令和という時代を迎えるにあたり、平成を思い返すのにタイムリーな物語であった。

 

総評

 

ハドソン

★★★★☆

ホシ4つ!!! 全体的な構成のうまさと、平成の人間の心情を見事に描写した内容に感動。

小暮・名島の名コンビや菜摘といったキャラクターも好きになってしまいました。

最後まで楽しませてくれるラスト1行がいい感じに効いています。

 

 

マルコ
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ハドソン
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